曲目解説 清経(きよつね)

清経""清経清経清経

種類 二番目 修羅物
作者 世阿弥元清
出典 平家物語巻 第七主上都落 第八大宰府落
源平盛衰記 巻第31平家都落の事
第33平家の太宰府落ち並びに平家宇佐宮の歌、附けたり清経入海
季節 秋 9月
場所 京都の清経留守宅。平家が西国出奔した時、放火したため、正確な所在は不明。
父親である重盛の屋敷・小松第が、京都市東山区妙法院前側町にあったとされる。

登場人物

シテ 平清経 中将または今若
装束 黒垂 梨子打烏帽子 白鉢巻
紅入厚板唐織 白大口 長絹または単法被
持物 太刀 修羅扇
ツレ 清経の妻 若女
装束 鬘 紅入鬘帯 摺箔 紅入唐織 鬘扇
ワキ 淡津三郎 装束 段熨斗目 白大口 掛素袍 男笠 守袋 小刀 男扇

物語

九州から清経の家臣である淡津三郎(ワキ)が、清経の遺品の肌の守りと髪を持って、京都の留守宅にいる清経の妻(ツレ)へ報告に来ました。

三郎は妻に、柳ヶ浦にて清経が入水自殺した事を伝えました。妻は驚き悲しみましたが、戦で討たれたならまだしも自分から命を絶つとはと怨み、遺品を見れば思いも増さるとて、「うさにぞ返す本の社へと」と返してしまいました。

妻がまどろんでいる枕辺に、清経の亡霊シテが現れ、形見を返したことを咎め、妻は自ら命を絶ったことを恨み、互いにその不運を嘆き合います。
やがて、清経は、この上は恨みを晴れ給えと、西海四海の物語を語りました。
山鹿の城へも敵攻め来ると聞いたので、柳と言う所に皇居を定め、宗盛・知盛等と共に宇佐八幡に参詣したが、「世の中の宇佐には神も無きものを、なに祈るらん、心づくしに」と祈りが届かなかったこと、それに答えて、新中納言知盛は「さりともと、思ふ心も虫の音も弱り果てぬる秋の暮れかな」と悲嘆の心境を詠みました。

清経は、「佛神三宝も捨て果て給ふと心細くて」と松に留る鶴を見て、白旗の源氏かと思うような慌てふためいた戦況風景と心中をつぶさに述べ、死を覚悟、舟の舳板に立ち、笛を吹き、今様を謡って、南無阿弥陀仏を唱え海に沈みました。
妻はこのような語りを聞き、「聞くに心もくれはどり、憂き音に沈む思ひの海の恨めしかりける」と相愛の心を覗かせました。
そして、清経は、死後に堕ちた修験道の苦患の様を見せますが、入水の際に唱えた念仏の功徳で、佛果を得たことを感謝するのでした。

みどころ

修羅物でありながら夫婦の恋慕の情を色濃く表現した幽玄能です。
化身となって現れ旅の僧に回向を頼み本来の姿で現れる、複式夢幻能の形式ではなく、
ひとつの場面で妻の夢枕に立つという浪漫的で優雅な構成で展開します。
ワキの役割は少なく、後半はツレがシテの相手役となり物語がすすみます。
貴公子でプライドも高い平家の公達が戦い敗れることを恐れ、悩み苦しみ精神的に追い詰められる様子が見事に描かれていて、クセからキリにかけては、謡の内容に沿って具体的な描写をする型が多く、見応えがあります。

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